【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



 目の前に並べられたハンバーグは、とても美味しそうだった。

「さ、熱いうちに食べてみ。 うちのハンバーグはジューシーで美味いから」

「……いただきます」

 ナイフでハンバーグに切れ目を入れると、ハンバーグの肉汁が溢れんばかりに漏れ出してくる。

「え……すごい肉汁」

「すごいだろ? うちのハンバーグは100%黒毛和牛を使ってるから」

「そう、なんですね」

 湯気が立ち込めるハンバーグを少しフーフーしてから、口に入れる。

「……っ!」

 え……?なにこれ? こんなハンバーグ、食べたことない。
 そのハンバーグは、衝撃的な美味しさだった。今まで食べたハンバーグの中で、一番美味しいハンバーグだと感じた。

「どうだ? 美味いだろ?」

「はい。……すっごく美味しいです」

 ハンバーグの美味しさに感動していると、烏丸さんが私に「だから言っただろ。俺のハンバーグは世界一美味いってな」と自慢げな顔を私を見ている。

「悔しいけど……こんなに美味しいハンバーグ、食べたことないです」

「そうか。そんなに美味いか」

「すごい美味しいです」

 あまりの美味しさに、ナイフとフォークが止まらなくなっていた。

「……っ、美味しい」

 なぜだかわからないけど、あまりにも美味しくて涙が溢れていく。

「おい、どうした? 泣いてるのか?」

「っ……な、泣いてませんっ」

 私は涙を拭うと、そのままハンバーグを口にしていく。

「そうかそうか。泣くくらい美味いハンバーグなのか、俺のハンバーグは」