なんかよくわからないけど、烏丸さんのペースに飲まれている気がするような……。
「うちのハンバーグは絶品だ。 クズ野郎のことなんてすぐに忘れるくらい、美味いハンバーグだから覚悟しておけよ」
「……楽しみにしてます」
私がそう答えると、「豊佳、美味すぎてきっと泣くと思うぞ」と烏丸さんは私に微笑みかける。
「本当ですか?」
「ああ、こんな美味しいハンバーグ、食べたことない!って言うだろうな」
「そんなに美味しいんですか?」
と私が聞くと、烏丸さんは「当たり前だろ。俺が作ってるのは、世界一美味いハンバーグなんだからな」と私に自信満々な顔をしている。
「世界一美味しい、ハンバーグ……ですか。そんなにハードル上げて大丈夫なんですか?」
「俺を誰だと思ってるんだ? 希望の丘のシェフだぞ」
「ふふふ。……楽しみです」
そんな私に向かって、烏丸さんは「ようやく笑ったな」と告げた。
「……え?」
「豊佳は、笑ってる方がいいと思うけどな」
「え。……そうですかね」
烏丸さんにそんなことを言われると、妙にドキドキしてしまう。
さっき出会ったばかりなのに、なんでこんなに私は烏丸さんの言葉にドキドキしてしまうのだろうか……。
「豊佳は可愛いんだから、泣き顔なんて似合わねえって」
「……私のこと、からかってるんですか?」
私のことをからかってるんだと思いそう聞くと、烏丸さんは「からかってなんてない。俺は本気で言ってる」と私の顔を見る。



