【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。



「私の二年間、何だったんだろう……」

 ムダな二年間だったのかな?私のこの二年間は。

「大好き、だったんだけどな……」

 龍樹となら幸せになれると、そう信じてたのにな。……私、龍樹にセフレがいることを知らなれば良かった。
 そうしたら今頃、今までのように楽しくいられたのにな。 あの時、龍樹の家になんて行かなれば良かった。 
 サプライズしようだなんて、思わなきゃ良かった。 そうしたら、いつものように過ごせたかもしれないのにな……。

「あの……大丈夫ですか?」

 そんなことを考えていたら、後ろから誰かに声を掛けられた。

「え……?」

 声を掛けてきたのは、さっきの店員さんだった。

「もしかして、体調悪いですか?」

 そう聞かれて私は、すぐに「ち、違うんです!ちょっと考えごとをしてただけなので、大丈夫です」と答えた。

「そうですか。ご無理はなさらないでください」

 ニコッと微笑む店員さんに、私は「はい。ありがとうございます」と伝えた。

「おかえり豊佳。 ねえ、今度ここ行かない?」

「え?どこ?」

 スマホを画面を私に見せてくれた。

「何ここ?」

「今月オープンしたばかりの、新しく出来たスイーツの食べ放題」

「スイーツの食べ放題?」

「そう。なんと今なら、オープン記念で20%オフだってよ」

「いいね、行こう」

「じゃあ決まりね!」

 二人でスイーツの食べ放題に行く約束を交わした私たちは、しばらく他愛のない話をしながら時間を潰した。