劣情にmistake


悪気のないその声とみんなの笑顔に、落ちかけていた視線を上げる。

ああ、笑わなきゃな。

ここで、しょーがないなーって笑うわたしもわたしでどうかしている。


「やったー流石りりこ!」

「金持ちは違うよね」

「バイトもしてないのに羨ましい〜」

「わたしたち最高の友達持ったよねー」

「来週の木曜にしない?」

「いいねいいね」


そんなやりとりに表情は笑いながら、内心はいはい、と思う。

わたしの家が裕福なことを知っていて近づいてくる友達のこと、嫌いじゃないけど好きでもないのかも。


さっきのスマホ画面に映った写真に付けられたタグが目に入ってさらにげんなりする。

#キラキラJK★ 笑っちゃうよね。

来週の木曜には、もうわたしはこの世にいないっていうのに。


「わたしちょっとトイレ行ってくるー」
「あ、スズコが行くならわたしも行くよ」


5人のうち2人がそう言って席を立つ。

教室を出ていく姿を確認して、残った2人が目くばせした。また、嫌な雰囲気だ。

やだな、この空気、すごく苦手だ。


「てかさー、何様なの? スズコって」
「あーわかるわかる、最近さらに性格悪くなったよねー」


突然声のトーンが低くなった。

わたしはそれに黙ってふたりの顔を交互に見ることしかできない。

スズコちゃん。
5人の中でいちばん気が強くて可愛くて、言わばカースト上位の女の子。

さっき、わたしに『奢ってよ』と言いいだしたのもスズコちゃんだ。