劣情にmistake



次の日、学校。

朝起きた時には夏川くんの姿がなくて、昨日のことは夢かと思った。まあ、夢ならそれがいちばん幸いなんだけど。

キッチンに置かれたふたつのカレー皿とマグカップを見て、やっぱり夢ではなかったようだと思った。



「ねーこのカフェ行きたくない?」
「ちょーばえるの」


昼休み、いつものように友だち5人で机をくっつけて昼食をとる。

昨日一昨日とあんなことがあったのに、日中の日常はこんなにも変わり映えがしないなんて変な話だよね。


「うわ本当だかわいーっ」
「流行ってるから並ぶかもだけどー」
「えーでもわたしお金ないなー」


栗色に染めた髪をくるくると指先で弄びながら、ひとりが示すスマホの画面をみんな見つめる。

かわいらしいスイーツに夢のような空間が映ってる。わたしとは似ても似つかないような場所。

なのに、みんな、こういう所謂写真映えするスポットが大好きなの。
かわいいなってもちろん思うけど、なんだか自分に合ってないような気がしてしまうのはなんでだろう。


「わかるわかる、先月テストでバイトあんま入らなかったしねー」

「親からのお小遣いも尽きたわー」

「えーじゃあさ、」


あ、この空気、また来るな、と思った。


「りりこ、お金持ってるじゃん? 奢ってよ」