劣情にmistake


「ねえ、夏川くんって、どれくらいの人の死を見てきたの?」

「さあ、忘れたって言ったろ。キャパを超えれば記憶は消えるし、第一いちいち覚えてない」

「でも、ってことはきっと、相当な数でしょ」


「まあそうかもな」

「いくら他人って言っても、死ぬのを見るなんて嫌な仕事だよね……」

「運命なんだから仕方ないことだよ。死にたくて消えていく奴だっているし」



ねえだけど、夏川くん。
死神と言いながら、わたしを生かした夏川くん。

わたしの布団に入ってくる時、少しだけさみしそうな顔をしていたのは気のせいかな。

尽きていく寿命を見届けてここに帰ってきた夏川くんを、ひとりにしないでよかったなんて思ってしまう。わたしはバカかな。


だって、夏川くんは元々人間だって言っていたし。いくら死神になったとはいえ、毎回人の死を見届けるなんて相当重荷なはずだ。

わたしの思い過ごしかもしれないけれど、夏川くんは、今夜はだれかと過ごしたかったんじゃないかって。


「夏川くん、くっついてもいい?」

「……りりこちゃん、ダメでしょ、そういうこと言ったら」

「明後日には死ぬんだからいいでしょ」