劣情にmistake



お風呂から上がってリビングに戻ると、夏川くんの姿がなかった。

泊まるなんて言ったのも冗談だったのかな? 
死神だし、そこのところはよくわからない。

わたしはいつもようにスキンケアとドライヤーを済ませてから課題を終わらせて寝室に向かった。


23時。布団に潜り込んでうとうとしていたところで、ギシッと右側のベットが沈む音がした。


「えっ、と、何事?!」
「なにが?」


沈んだベットの方へ顔を向けると、何食わぬ顔で布団に入ろうとする夏川くんの姿がある。

その端正な顔は表情ひとつ変わらない。


「な、なんで入ろうとしてくるの?! ていうかどこに行ってたの?!」

「なんでって、一緒に寝るからだけど」

「は、はあ?!」

「どこに行ってたかって、ちょうど22時に近くの病院で案件(、、)があったから仕事してきただけ。寿命で終える命は見届けるだけでいいから楽なんだよ」


夏川くんが”案件”とよんだものが、誰かの”死”であることは、頭の出来がそんなによくないわたしでもわかってしまう。

そんな会話をしているうちに、夏川くんが躊躇いもなくわたしの横に滑り込んできた。急に緊張する。

死神といえど、見た目はかなり整った容姿の男子高校生なんだもん。


「……死神も睡眠が必要なの?」

「別にこっちの世界ではどっちでもいいけど」

「じゃあなんでわざわざ横で寝るの」

「さあ、なんでだろーね」