劣情にmistake


基本的にわたしはこの広い家の中にひとりでいる。

母親は小さい頃に他界していて、父親は仕事で遠方に住んでいるから。たまに連絡なく帰ってくるけどね。


関係は良くも悪くもない。むしろ関係が悪いと言えた方がよかったと思うくらいには、殆ど他人と同じ部類だ。

生活費や学費、その他諸々、生きていくのに何不自由ない支援をしてくれているところだけは、どれだけ関係が淡泊でも憎めないけれど。


「夏川くんは、ごはんとか食べられるの?」

「昨日も言ったけど、心臓以外は普通の人間と変わらない。食べなくても死にはしないけど。まあもう死んでるし」

「そのギャグ笑えないよー……」

「ギャグで言ったつもりないけどね」


ここまでぶっ飛んだ非日常なら、もうわたしも開き直るしかない。

こうなれば、今の状況をとことん楽しんでみるっていうのもひとつの手じゃない?

この男────もとい死神と仲良くなってみる、というのも、また一興。