劣情にmistake


テレビの中で、ニュースキャスターとコメンテーターが交互にそう話すのをどこか上の空で聞いていて、その内容が昨晩夏川くんから聞いたものと完全に一致していることに鳥肌が立った。

あの時あの瞬間、事故を起こした張本人である運転手しか知り得ないことを飄々と言ってのけたこと。
それに、夏川くんは事故から背を向けていたのだ。視覚から読み取ったわけでもない。

あまりに冷酷な瞳を思い出して身震いする。


わたしが死ぬはずだった事故。
それから、代わりに誰かを殺すと言う夏川くん。



 ─────『殺したい奴決めといて』

いないよ。いるわけない。だけど、決めなきゃわたしが死ぬかもしれない。

誰もいない殺風景な広いリビングで、わたしは味気ない朝ご飯のトーストを囓った。