綺麗な彼にいい意味で似合わない豪快な笑い方に、しばしぽかんとしてしまう。
「あー……、お前やっぱり可愛いね」
「?……、??」
「死なせてもいいけど生きてるほうがいいな。あったかいし」
そう言いながら、夏川くんは一度だけ私を抱きしめた。
ほんの一瞬のできごとだったのに、冷たくもあったかくもない体に包まれている時間は、永遠にも思えた。
「また明日の夜会いに来るから、それまでに殺したいやつ決めといて」
昏い瞳が、再び妖しい弧を描く。
夏川くんは、理解が追い付かない私を置いてけぼりにして夜の闇に消えていった。



