「美味しかったです。ごちそうさまでした、副社長」
「どういたしまして。もしよかったら、少し歩かない?海を見たいんだ」
「え?はい」
店を出るといつになく真剣に切り出した翔に、芹奈は少し怪訝そうにしながら頷く。
翔は黙ったまま海沿いの臨港パークに向かった。
「海がすぐそこなんですね。とっても綺麗……」
手が届きそうなほどの近さで目の前に広がる水面は、陽の光を浴びてキラキラと輝いている。
優しい表情で遠くを見つめる芹奈の横顔に見とれてから、翔は思い切って口を開いた。
「里見さん」
「はい」
風になびく髪をそっと押さえながら、芹奈が翔に向き直る。
「俺が帰国して間もない時から、いつもサポートしてくれてありがとう。君のおかげで俺は随分助けられた」
「いえ、そんなこと」
「君の仕事ぶりに感心して、気さくに話してくれる君に感謝して、君の明るい笑顔に俺はいつの間にか惹かれていた」
翔は真っ直ぐに芹奈を見つめた。
「無邪気に笑う君も、真剣に仕事をしている君も、照れてはにかむ君も、ちょっと拗ねた時の君も……。どんな君も愛しくてたまらない。里見さん、俺は心から君が好きだ」
芹奈は驚いたように言葉を失くしている。
「もうこれ以上、自分の気持ちを隠しきれない。里見さん、俺とつき合ってくれないか?」
じっと視線を合わせて返事を待つと、芹奈は少しうつむいてから顔を上げた。
「副社長。お言葉は大変ありがたく恐れ多いですが、おつき合いはいたしかねます」
翔はハッとして目を見開く。
「それは、なぜ?」
もしかして、以前話していた「誰かと恋愛したら仕事が疎かになりそうで怖い」というのが理由だろうか。
それなら、と口を開きかけた時、芹奈が言葉を続けた。
「私、好きな人がいるので」
全身に衝撃が走り、翔はその場に凍りつく。
何も言えず、何も考えられなかった。
「それでは私はこれで。副社長、今日もありがとうございました」
芹奈がお辞儀をしてスッと自分の横を通り過ぎる。
それでも翔は、ピクリとも動けなかった。
「どういたしまして。もしよかったら、少し歩かない?海を見たいんだ」
「え?はい」
店を出るといつになく真剣に切り出した翔に、芹奈は少し怪訝そうにしながら頷く。
翔は黙ったまま海沿いの臨港パークに向かった。
「海がすぐそこなんですね。とっても綺麗……」
手が届きそうなほどの近さで目の前に広がる水面は、陽の光を浴びてキラキラと輝いている。
優しい表情で遠くを見つめる芹奈の横顔に見とれてから、翔は思い切って口を開いた。
「里見さん」
「はい」
風になびく髪をそっと押さえながら、芹奈が翔に向き直る。
「俺が帰国して間もない時から、いつもサポートしてくれてありがとう。君のおかげで俺は随分助けられた」
「いえ、そんなこと」
「君の仕事ぶりに感心して、気さくに話してくれる君に感謝して、君の明るい笑顔に俺はいつの間にか惹かれていた」
翔は真っ直ぐに芹奈を見つめた。
「無邪気に笑う君も、真剣に仕事をしている君も、照れてはにかむ君も、ちょっと拗ねた時の君も……。どんな君も愛しくてたまらない。里見さん、俺は心から君が好きだ」
芹奈は驚いたように言葉を失くしている。
「もうこれ以上、自分の気持ちを隠しきれない。里見さん、俺とつき合ってくれないか?」
じっと視線を合わせて返事を待つと、芹奈は少しうつむいてから顔を上げた。
「副社長。お言葉は大変ありがたく恐れ多いですが、おつき合いはいたしかねます」
翔はハッとして目を見開く。
「それは、なぜ?」
もしかして、以前話していた「誰かと恋愛したら仕事が疎かになりそうで怖い」というのが理由だろうか。
それなら、と口を開きかけた時、芹奈が言葉を続けた。
「私、好きな人がいるので」
全身に衝撃が走り、翔はその場に凍りつく。
何も言えず、何も考えられなかった。
「それでは私はこれで。副社長、今日もありがとうございました」
芹奈がお辞儀をしてスッと自分の横を通り過ぎる。
それでも翔は、ピクリとも動けなかった。



