距離感ゼロ 〜副社長と私の恋の攻防戦〜

住宅展示場をあとにすると、カフェで休日限定のランチメニューを食べることにした。

「海が見えるテラス席もあるんですって。早く行きましょ!」

芹奈は明るく言うが、翔は少し落ち込んでいた。
来る途中で芹奈に「もうお芝居は終わりですからね」と言われ、手も繋いでくれなくなったからだ。

(けど、こうやって一緒にいられるだけで幸せだ)

そう思い直して芹奈に笑顔を返す。
運良くテラス席に案内され、オーダーを済ませると、芹奈は微笑みながら海を見つめる。

髪が風にふわりと揺れ、清楚なワンピース姿の芹奈はいつもより可憐で美しい。

(しようかな、告白)

翔はふいにそう思った。

(気持ちが溢れて、これ以上は抑えきれない)

その時、「お待たせいたしました」とランチプレートが運ばれて来た。

「美味しそう!いただきます」

満面の笑みを浮かべる芹奈に、翔は決意する。

(しよう、告白。今日中に想いを伝えるんだ)

はやる気持ちを抑え、このあとどこで打ち明けようかと考えを巡らせた。