「おはようございます、副社長。よくお休みになれましたか?」
待ち合わせした朝食レストランで、村尾が翔に挨拶する。
「おはよう、村尾。ああ、ぐっすり眠れたよ」
「それは良かった。芹奈も、おはよう」
すると芹奈は唇を尖らせたまま、小さく「おはよう」と呟く。
「ん?どうした、芹奈。なんか機嫌悪そうだな」
「悪そうじゃなくて、悪いの」
「なんで?寝相が悪くてベッドから落っこちたとか?」
芹奈が「違うもん!」と言い終わる前に、「落ちてないよな」と翔の声がした。
「副社長、何を……」
呆然とする芹奈の横で、村尾は思い切りニヤリと笑う。
「へー、芹奈ひょっとして寝不足で不機嫌なのか?」
「ち、違うったら!ぐっすりよく寝たもん」
すると今度は翔がニヤリとする。
「それは良かった。俺も気持ち良く寝られたよ」
ムーッ!と芹奈は思い切りむくれる。
だがこれ以上何を言っても、からかわれるだけだ。
スタスタとレストランに入る芹奈の後ろ姿を見ながら、村尾が声を潜めた。
「で?副社長。いっちゃったんですね?」
「いや、まだ何も」
「え?じゃあまさか、アイラブユーも?」
「ああ、言っちゃってない」
「はいー?どんだけ奥手なんですか。俺が気を利かせて二人きりにしたのに、そのシチュエーションでもどうにもならないって!ひと晩部屋で男女が二人きりですよ?」
「うるさいなあ。里見さんはそんな簡単に落ちるような女性じゃないの。奥ゆかしくて可愛らしいんだ。すぐにどうこうなって欲しくない」
何を呑気な……、と村尾は呆れる。
「いいんですか?秘書室に帰ればあいつがいますよ?」
その途端、翔は殺気立った目で村尾を振り返った。
「村尾!お前、必ず里見さんを井口から守れよ?」
「はあ?どうして俺が?」
「俺の秘書だろう!」
「それは職権乱用です!」
「何とでも言え。俺は本気だからな」
ギラリと目を光らせて念を押すと、翔もスタスタとレストランに入る。
村尾はまたしても、ぐったりと肩を落としていた。
待ち合わせした朝食レストランで、村尾が翔に挨拶する。
「おはよう、村尾。ああ、ぐっすり眠れたよ」
「それは良かった。芹奈も、おはよう」
すると芹奈は唇を尖らせたまま、小さく「おはよう」と呟く。
「ん?どうした、芹奈。なんか機嫌悪そうだな」
「悪そうじゃなくて、悪いの」
「なんで?寝相が悪くてベッドから落っこちたとか?」
芹奈が「違うもん!」と言い終わる前に、「落ちてないよな」と翔の声がした。
「副社長、何を……」
呆然とする芹奈の横で、村尾は思い切りニヤリと笑う。
「へー、芹奈ひょっとして寝不足で不機嫌なのか?」
「ち、違うったら!ぐっすりよく寝たもん」
すると今度は翔がニヤリとする。
「それは良かった。俺も気持ち良く寝られたよ」
ムーッ!と芹奈は思い切りむくれる。
だがこれ以上何を言っても、からかわれるだけだ。
スタスタとレストランに入る芹奈の後ろ姿を見ながら、村尾が声を潜めた。
「で?副社長。いっちゃったんですね?」
「いや、まだ何も」
「え?じゃあまさか、アイラブユーも?」
「ああ、言っちゃってない」
「はいー?どんだけ奥手なんですか。俺が気を利かせて二人きりにしたのに、そのシチュエーションでもどうにもならないって!ひと晩部屋で男女が二人きりですよ?」
「うるさいなあ。里見さんはそんな簡単に落ちるような女性じゃないの。奥ゆかしくて可愛らしいんだ。すぐにどうこうなって欲しくない」
何を呑気な……、と村尾は呆れる。
「いいんですか?秘書室に帰ればあいつがいますよ?」
その途端、翔は殺気立った目で村尾を振り返った。
「村尾!お前、必ず里見さんを井口から守れよ?」
「はあ?どうして俺が?」
「俺の秘書だろう!」
「それは職権乱用です!」
「何とでも言え。俺は本気だからな」
ギラリと目を光らせて念を押すと、翔もスタスタとレストランに入る。
村尾はまたしても、ぐったりと肩を落としていた。



