走り出してしばらくすると、芹奈はテイクアウトしたサンドイッチを翔と村尾に渡した。

「村尾くん、気をつけて食べてね。フライドポテトはここに置くね」
「ありがとう」
「ごめん。助手席にいたら、持っててあげられるんだけど」
「いいって、大丈夫だから」
「そっか」

芹奈はシートに座り直すと、紙袋からドリンクとポテトを取り出して翔にも差し出す。

「副社長、どうぞ。ポテトは私が持ってますから、取ってくださいね」
「そんなに気を遣ってくれなくてもいいよ。それだと君が食べづらいでしょ?」
「でも……。それなら」

芹奈はバッグからハンカチを取り出すと、翔と自分の間のシートに広げ、ポテトの入った箱を置いた。

「お好きなだけ食べてくださいね」
「ありがとう」
「なんだか副社長にこんなお食事をさせてしまうなんて、今思えば私、配慮が足りませんでしたね。すみません」
「どうして?そんなことないよ。俺、一人だといつもこんな感じだし、このホットサンドとポテト、すごく美味しい」
「そうですか?そう言っていただけるなら良かったです」

ようやく納得したように、芹奈はにこっと翔に笑いかけてから食べ始めた。