「えっと?どっちに行けばいいんだろう」
ここに来た時の記憶がない為、玄関を出ると未知の世界だった。
キョロキョロしながら通路を歩き、エレベーターにたどり着いて1階まで下りる。
ホテルのようなロビーを横切りエントランスを出ると、スマートフォンの地図アプリを開いた。
「え!ここってこんなに会社の近くなんだ」
電車に乗ろうと思っていたが、歩いても15分ほどで会社に到着するだろう。
芹奈はそのまま歩いて行くことにした。
秘書室に着くと、さすがにまだ誰も出勤していない。
芹奈は更衣室に向かい、ロッカーからスーツを取り出した。
そしてふと今日の予定を思い出す。
(そうだ、今日は副社長と村尾くんとで2回目の視察に行く日だった。よりによって、どうして今日なの?また副社長に会わなきゃいけないじゃない)
はあ、とため息をついてスーツをロッカーに戻し、代わりに淡いブルーのフレアスカートとオフホワイトのノーカラージャケットを取り出す。
ショッピングモールに視察に行くのに、ビジネススーツでは浮いてしまいそうだった。
足元もヒールのあるパンプスにして、髪型はサイドだけ編み込みにした。
秘書室に戻り、加湿器とポットのお湯を準備してからパソコンを立ち上げる。
紅茶を飲みながら資料の作成としていると、井口が出社してきた。
「里見さん、おはようございます」
「おはよう、井口くん。早いね」
「里見さんこそ。今日は何かあるんですか?」
「うん、2回目の視察に行くの。それまでに少しでも他の作業をしておきたくて。そういう訳で、今日も社長秘書代理、お願いね」
「分かりました。それで、あの……」
井口は言いづらそうに視線を落とす。
「どうかした?何か困ったことある?」
「いえ、その。里見さんが戻って来られたら、少しお時間頂けませんか?お話があって」
「ああ、そうよね。秘書業務の申し送りしてもらわなきゃね。分かった。必ず時間作るから」
「はい、よろしくお願いします」
「こちらこそ、ありがとう井口くん」
にっこり笑いかけてから、芹奈は再びパソコンに向かった。
ここに来た時の記憶がない為、玄関を出ると未知の世界だった。
キョロキョロしながら通路を歩き、エレベーターにたどり着いて1階まで下りる。
ホテルのようなロビーを横切りエントランスを出ると、スマートフォンの地図アプリを開いた。
「え!ここってこんなに会社の近くなんだ」
電車に乗ろうと思っていたが、歩いても15分ほどで会社に到着するだろう。
芹奈はそのまま歩いて行くことにした。
秘書室に着くと、さすがにまだ誰も出勤していない。
芹奈は更衣室に向かい、ロッカーからスーツを取り出した。
そしてふと今日の予定を思い出す。
(そうだ、今日は副社長と村尾くんとで2回目の視察に行く日だった。よりによって、どうして今日なの?また副社長に会わなきゃいけないじゃない)
はあ、とため息をついてスーツをロッカーに戻し、代わりに淡いブルーのフレアスカートとオフホワイトのノーカラージャケットを取り出す。
ショッピングモールに視察に行くのに、ビジネススーツでは浮いてしまいそうだった。
足元もヒールのあるパンプスにして、髪型はサイドだけ編み込みにした。
秘書室に戻り、加湿器とポットのお湯を準備してからパソコンを立ち上げる。
紅茶を飲みながら資料の作成としていると、井口が出社してきた。
「里見さん、おはようございます」
「おはよう、井口くん。早いね」
「里見さんこそ。今日は何かあるんですか?」
「うん、2回目の視察に行くの。それまでに少しでも他の作業をしておきたくて。そういう訳で、今日も社長秘書代理、お願いね」
「分かりました。それで、あの……」
井口は言いづらそうに視線を落とす。
「どうかした?何か困ったことある?」
「いえ、その。里見さんが戻って来られたら、少しお時間頂けませんか?お話があって」
「ああ、そうよね。秘書業務の申し送りしてもらわなきゃね。分かった。必ず時間作るから」
「はい、よろしくお願いします」
「こちらこそ、ありがとう井口くん」
にっこり笑いかけてから、芹奈は再びパソコンに向かった。



