「もしもし……。ああ!ハイ、ダグラス」
相手は昨日のダグラスだった。
翔は英語で食事のお礼と、よければ今度は自分が夕食に招待したいと話す。
するとダグラスは、もちろん!と喜び、セリーナも一緒に来て欲しいと言う。
はあ?と聞き返すがダグラスは譲れないらしく、ぜひ!と押し切られた。
「……well, let me ask her. Hold on a sec.」
ダグラスにそう言って、翔は芹奈を振り返る。
「セリーナ、ダグラス says he wanna have dinner with you, if you don't mind.」
「あ、はい。私は大丈夫です」
芹奈が日本語で答えるのを聞き、翔は英語で話していたことに気づいてハッとする。
「あ!ごめん。えっと、ほんとにいいのか?」
「はい。副社長さえよろしければ」
「俺はもちろんいいよ。ありがとう、じゃあそう返事しておく。ダグラス、彼女も一緒に……あっ!well, she says she is OK.」
再びアタフタと英語に切り替えて電話を終えると、芹奈がクスッと笑った。
「こんがらがりますよね」
「ああ。同時通訳の人、マジで尊敬する。頭の中どうなってんだろ?」
「本当ですよね。ダグラスさんは日本語は話せないのですか?」
「それがあいつ、結構ペラペラなんだよ。けど、女の子を口説きたい時にしか使わないんだ」
「ええ!?それは、なぜ?」
「基本的には英語の方が楽なんだろうな。俺に対しては、お前が合わせろ、みたいに頑なに英語で話してくる。だけど女の子を口説く時は必死なんだ。とにかく会話をって」
「そうなんですね。ふふっ、面白い」
口元に手をやって笑う芹奈に、翔は思わずドキッとする。
サラリと揺れるハーフアップの髪と、いつもの仕事モードとは違う柔らかい表情。
ブラウスとフレアスカートのオフィススタイルは品が良く、胸元に資料を抱えて微笑む芹奈の姿に、翔は初恋の時のように胸がキュッと締めつけられた。
「では、早速残りの資料を仕上げますね。出来上がり次第お持ちします」
「あ、ああ。うん。頼む」
我に返って翔は真顔で頷く。
「かしこまりました。それから次回の視察の日ですが、村尾とスケジュールを調整しまして、明後日なら一日空けられます。いかがでしょうか?」
「うん、それで構わない。あ、それならダグラスとの夕食、明日はどう?」
「え、明日ですか?」
「ああ。ダグラスが、来週は忙しいから出来れば今週がいいと言ってたんだ。さすがに急過ぎるかな?」
「いえ、私は大丈夫です」
「そう?それなら良かった。ダグラスにも伝えておくよ。仕事終わりに一緒に向かってもらえるか?」
はい、と頷いてから、芹奈は戸惑ったように聞いてきた。
「あの、副社長。どのようなお店でしょうか?ドレスコードはありますか?」
「いや、そんな心配はいらない。今の服装で充分だ」
「ですが、ディナーですよね?」
そう言って、うーん、と芹奈は考え込む。
「明日、定時を目安に支度をしておきますね。こちらにお迎えに上がります」
「分かった、ありがとう」
「はい。それでは失礼いたします」
綺麗なお辞儀をしてから部屋を出る芹奈を見送ると、翔は早速レストランを予約することにした。
相手は昨日のダグラスだった。
翔は英語で食事のお礼と、よければ今度は自分が夕食に招待したいと話す。
するとダグラスは、もちろん!と喜び、セリーナも一緒に来て欲しいと言う。
はあ?と聞き返すがダグラスは譲れないらしく、ぜひ!と押し切られた。
「……well, let me ask her. Hold on a sec.」
ダグラスにそう言って、翔は芹奈を振り返る。
「セリーナ、ダグラス says he wanna have dinner with you, if you don't mind.」
「あ、はい。私は大丈夫です」
芹奈が日本語で答えるのを聞き、翔は英語で話していたことに気づいてハッとする。
「あ!ごめん。えっと、ほんとにいいのか?」
「はい。副社長さえよろしければ」
「俺はもちろんいいよ。ありがとう、じゃあそう返事しておく。ダグラス、彼女も一緒に……あっ!well, she says she is OK.」
再びアタフタと英語に切り替えて電話を終えると、芹奈がクスッと笑った。
「こんがらがりますよね」
「ああ。同時通訳の人、マジで尊敬する。頭の中どうなってんだろ?」
「本当ですよね。ダグラスさんは日本語は話せないのですか?」
「それがあいつ、結構ペラペラなんだよ。けど、女の子を口説きたい時にしか使わないんだ」
「ええ!?それは、なぜ?」
「基本的には英語の方が楽なんだろうな。俺に対しては、お前が合わせろ、みたいに頑なに英語で話してくる。だけど女の子を口説く時は必死なんだ。とにかく会話をって」
「そうなんですね。ふふっ、面白い」
口元に手をやって笑う芹奈に、翔は思わずドキッとする。
サラリと揺れるハーフアップの髪と、いつもの仕事モードとは違う柔らかい表情。
ブラウスとフレアスカートのオフィススタイルは品が良く、胸元に資料を抱えて微笑む芹奈の姿に、翔は初恋の時のように胸がキュッと締めつけられた。
「では、早速残りの資料を仕上げますね。出来上がり次第お持ちします」
「あ、ああ。うん。頼む」
我に返って翔は真顔で頷く。
「かしこまりました。それから次回の視察の日ですが、村尾とスケジュールを調整しまして、明後日なら一日空けられます。いかがでしょうか?」
「うん、それで構わない。あ、それならダグラスとの夕食、明日はどう?」
「え、明日ですか?」
「ああ。ダグラスが、来週は忙しいから出来れば今週がいいと言ってたんだ。さすがに急過ぎるかな?」
「いえ、私は大丈夫です」
「そう?それなら良かった。ダグラスにも伝えておくよ。仕事終わりに一緒に向かってもらえるか?」
はい、と頷いてから、芹奈は戸惑ったように聞いてきた。
「あの、副社長。どのようなお店でしょうか?ドレスコードはありますか?」
「いや、そんな心配はいらない。今の服装で充分だ」
「ですが、ディナーですよね?」
そう言って、うーん、と芹奈は考え込む。
「明日、定時を目安に支度をしておきますね。こちらにお迎えに上がります」
「分かった、ありがとう」
「はい。それでは失礼いたします」
綺麗なお辞儀をしてから部屋を出る芹奈を見送ると、翔は早速レストランを予約することにした。



