翌日。
芹奈は仕上げたばかりの資料を持って、副社長室を訪れていた。
「こちらが、昨日のみなとみらいのショッピングモールに入っているお店の一覧と詳細です。ジャンル別に分けてあります。それからこちらは、首都圏の主なショッピングモールに入っているお店です。同じように表にまとめました」
差し出された資料に目を落としてから、翔は芹奈の話に耳を傾ける。
「そして最後にこちらは、主要なショッピングモールを網羅しているお店の一覧です。やはり昨日見たアメリカの雑貨店やファストファッションのお店は、大きなモールには必ず入っていますね。詳細の欄には、カフェ併設かどうか、レディースだけでなくキッズやメンズの服も取り扱っているか、また店の規模なども載せました」
そこまで言うと、芹奈は顔を上げた。
翔は芹奈と視線を合わせてじっと考え込む。
(仕事に打ち込む表情は綺麗だな。そもそも日本女性って、控えめなのがいい。妙に思わせぶりな態度を取ったり、しなだれかかってこないもんな。部屋に二人きりだぞ?それなのにそんな素振りもない。いや、そもそも俺に全く興味がなさそうだ。それもなんかいい。俺を意識させたくなる)
しばらく見つめ合い、沈黙が流れたあと、芹奈が口を開いた。
「……副社長」
「なんだ?」
「一旦視線をそらしてもよろしいでしょうか?」
は?と、翔は目をしばたたかせる。
「あの、日本ではずっと目を合わせたまま会話することは、あまりありませんので……」
「ああ、そうか。悪かった。向こうでは目を合わせない方が失礼に当たるから」
「そうですよね。私もそう思い、しばらく耐えてみたのですが、固まってしまいまして」
「ははっ!ごめん。メデューサではないから安心して」
そう言って翔は視線を落とし、資料に目をやった。
「うん、すごく丁寧に分かりやすくまとまっている。 ありがとう。これと同じように、今度は駅ビルに入っているお店もピックアップしてくれるか?比較してみたいんだ」
「かしこまりました」
「よろしく頼む。あとは年代別に客層を……」
その時、翔のスマートフォンが鳴り出し、失礼と言って翔は立ち上がる。
芹奈は仕上げたばかりの資料を持って、副社長室を訪れていた。
「こちらが、昨日のみなとみらいのショッピングモールに入っているお店の一覧と詳細です。ジャンル別に分けてあります。それからこちらは、首都圏の主なショッピングモールに入っているお店です。同じように表にまとめました」
差し出された資料に目を落としてから、翔は芹奈の話に耳を傾ける。
「そして最後にこちらは、主要なショッピングモールを網羅しているお店の一覧です。やはり昨日見たアメリカの雑貨店やファストファッションのお店は、大きなモールには必ず入っていますね。詳細の欄には、カフェ併設かどうか、レディースだけでなくキッズやメンズの服も取り扱っているか、また店の規模なども載せました」
そこまで言うと、芹奈は顔を上げた。
翔は芹奈と視線を合わせてじっと考え込む。
(仕事に打ち込む表情は綺麗だな。そもそも日本女性って、控えめなのがいい。妙に思わせぶりな態度を取ったり、しなだれかかってこないもんな。部屋に二人きりだぞ?それなのにそんな素振りもない。いや、そもそも俺に全く興味がなさそうだ。それもなんかいい。俺を意識させたくなる)
しばらく見つめ合い、沈黙が流れたあと、芹奈が口を開いた。
「……副社長」
「なんだ?」
「一旦視線をそらしてもよろしいでしょうか?」
は?と、翔は目をしばたたかせる。
「あの、日本ではずっと目を合わせたまま会話することは、あまりありませんので……」
「ああ、そうか。悪かった。向こうでは目を合わせない方が失礼に当たるから」
「そうですよね。私もそう思い、しばらく耐えてみたのですが、固まってしまいまして」
「ははっ!ごめん。メデューサではないから安心して」
そう言って翔は視線を落とし、資料に目をやった。
「うん、すごく丁寧に分かりやすくまとまっている。 ありがとう。これと同じように、今度は駅ビルに入っているお店もピックアップしてくれるか?比較してみたいんだ」
「かしこまりました」
「よろしく頼む。あとは年代別に客層を……」
その時、翔のスマートフォンが鳴り出し、失礼と言って翔は立ち上がる。



