カタカタカタ……とキーボードの音が響く秘書室で、芹奈は時折突き刺さる視線に耐えていた。
(さすがに無理があったかな?パーティー会場に誰でも使えるちょっとした洗面台なんて。いや、あるかもしれないよね?うん、ある!きっとある!)
そう思い込もうとした時、隣のデスクの村尾が「ウキー!」と声を上げて、皆はビクッと手を止めた。
「びっくりしたー。どうしたの?村尾くん」
「それがさ、副社長からの指示が尋常じゃないんだよ!資料を集めて報告書を作れってのが、もう数え切れない程の件数」
どれどれ?と皆で村尾のデスクを囲み、パソコンを覗き込む。
「うわっ、確かにすごいね。これ、全ての海外支社の創業から現在までを把握してないと作れなくない?」
「そうなんだよ。もう、頭と身体があと5つあっても足りない」
途方に暮れたように頭を抱える村尾の横で、芹奈は思案する。
「じゃあ、私も引き受けるよ。担当制にして、欧米は私、アジアは村尾くん、って感じにしない?」
村尾はガバッと顔を上げた。
「いいのか?芹奈。助かる!」
「うん。社長からも、何かあれば副社長をフォローするようにって言われてるから」
すると他の先輩達も手を挙げた。
「私も手伝うわ。アメリカ全土は任せて」
「私もやります!副社長とお近づきになりたいですから!」
「菜緒、不純な動機を赤裸々に叫ばないの」
あはは!と笑ってから皆で担当エリアを決めて、早速取り掛かる。
その日の終業時間ギリギリに仕上がり、村尾は大量の資料を手に副社長室を訪れた。
「えっ、もう終わったのか?しかもこんな膨大な量を?」
「はい。なるべく早くとのことでしたので」
いやいや、と資料をめくりながら翔は目を見開く。
「だからって、今日中にとは微塵も思ってなかったぞ?すまん、無理したんじゃないか?ちゃんと食事も休憩も取ったか?」
「はい、大丈夫です。実は秘書室のメンバーみんなが協力してくれて。それぞれに割り振って取り組んだところ、今日中に仕上がったという訳です」
「そうだったのか。ありがとう!よろしく伝えてくれ」
「はい!」
笑顔で頷く村尾を、翔は頼もしく感じていた。
(さすがに無理があったかな?パーティー会場に誰でも使えるちょっとした洗面台なんて。いや、あるかもしれないよね?うん、ある!きっとある!)
そう思い込もうとした時、隣のデスクの村尾が「ウキー!」と声を上げて、皆はビクッと手を止めた。
「びっくりしたー。どうしたの?村尾くん」
「それがさ、副社長からの指示が尋常じゃないんだよ!資料を集めて報告書を作れってのが、もう数え切れない程の件数」
どれどれ?と皆で村尾のデスクを囲み、パソコンを覗き込む。
「うわっ、確かにすごいね。これ、全ての海外支社の創業から現在までを把握してないと作れなくない?」
「そうなんだよ。もう、頭と身体があと5つあっても足りない」
途方に暮れたように頭を抱える村尾の横で、芹奈は思案する。
「じゃあ、私も引き受けるよ。担当制にして、欧米は私、アジアは村尾くん、って感じにしない?」
村尾はガバッと顔を上げた。
「いいのか?芹奈。助かる!」
「うん。社長からも、何かあれば副社長をフォローするようにって言われてるから」
すると他の先輩達も手を挙げた。
「私も手伝うわ。アメリカ全土は任せて」
「私もやります!副社長とお近づきになりたいですから!」
「菜緒、不純な動機を赤裸々に叫ばないの」
あはは!と笑ってから皆で担当エリアを決めて、早速取り掛かる。
その日の終業時間ギリギリに仕上がり、村尾は大量の資料を手に副社長室を訪れた。
「えっ、もう終わったのか?しかもこんな膨大な量を?」
「はい。なるべく早くとのことでしたので」
いやいや、と資料をめくりながら翔は目を見開く。
「だからって、今日中にとは微塵も思ってなかったぞ?すまん、無理したんじゃないか?ちゃんと食事も休憩も取ったか?」
「はい、大丈夫です。実は秘書室のメンバーみんなが協力してくれて。それぞれに割り振って取り組んだところ、今日中に仕上がったという訳です」
「そうだったのか。ありがとう!よろしく伝えてくれ」
「はい!」
笑顔で頷く村尾を、翔は頼もしく感じていた。



