距離感ゼロ 〜副社長と私の恋の攻防戦〜

年が明けた1月4日。
芹奈と翔は互いの実家に行って結婚の報告をする。

と言っても、翔の父親である社長はもろ手を挙げて喜び、芹奈の両親も、どうしてうちの娘が副社長と!?と驚きつつ、もちろん反対などしない。
すんなりと婚姻届の証人のサインももらえた。

結婚式はまだ先になるが、婚姻届だけでも早く出したい!と翔が譲らず、そのまま区役所に提出しに行く。

「はい、確かに受理いたします。この度は誠におめでとうございます」
「ありがとうございます」

二人で手を繋いで区役所を出ると、翔はニヤニヤと頬をゆるめっぱなしだった。

「芹奈さん、今日から神蔵芹奈さんですね」

翔はおどけてそう言う。

「そうですね……って、あ!どうしよう、氏名変更」
「ん?何が?」
「会社に届けを出さないといけないですよね?」
「もちろん。俺も届けを出すし、芹奈はあと、住所変更もね」
「うわー、大変だな」
「そんなの、人事部に紙切れペラって出すだけだろ?どうってことないよ。それよりせっかくのおめでたい日なんだ。豪華なディナー食べに行くぞ!」

張り切る翔に、芹奈もつられて、ふふっと笑う。
翌日から大変な騒ぎになるとは、まだ考えが及ばずに。