「社長、おはようございます」
「おはよう、里見くん」
車から降りた社長に、芹奈は深々と頭を下げて挨拶する。
カバンを受け取ると、社長のすぐ後ろを歩きながら、今日のスケジュールを簡単に説明した。
「10時からの会議は、副社長の海外支社についてがメインだよね?」
「左様でございます。1時間の予定ですが議案が多く、念の為その後30分のスケジュールは空けておきました」
「ありがとう。副社長はこれが初めての会議となる。里見くんも気づいたことがあればフォローしてやって欲しい」
「いえ、とんでもない。私など何のお役にも立ちません」
即座に否定すると、社長は足を止めて芹奈を振り返った。
「君の仕事ぶりは私が一番よく知っているよ。夕べのパーティーでも、君は副社長を取引先の重役に実にそつなく引き会わせてくれた。どの会社の誰を優先するか、完璧なまでに計算してね。それに……」
社長は言葉を止めると、口角を上げてしたり顔になる。
「君が私をかばって代わりにワインを浴びたこと、そのあと場の雰囲気を壊さぬように静かに事を収めたこともね」
えっ、と芹奈は驚いて目を見開く。
「ご存知でしたか」
「もちろん。これでも私は大企業の社長をやってるんだよ?あはは!」
愉快げに笑って再び歩き始める社長に、芹奈はタジタジになりながらついて行った。
「おはよう、里見くん」
車から降りた社長に、芹奈は深々と頭を下げて挨拶する。
カバンを受け取ると、社長のすぐ後ろを歩きながら、今日のスケジュールを簡単に説明した。
「10時からの会議は、副社長の海外支社についてがメインだよね?」
「左様でございます。1時間の予定ですが議案が多く、念の為その後30分のスケジュールは空けておきました」
「ありがとう。副社長はこれが初めての会議となる。里見くんも気づいたことがあればフォローしてやって欲しい」
「いえ、とんでもない。私など何のお役にも立ちません」
即座に否定すると、社長は足を止めて芹奈を振り返った。
「君の仕事ぶりは私が一番よく知っているよ。夕べのパーティーでも、君は副社長を取引先の重役に実にそつなく引き会わせてくれた。どの会社の誰を優先するか、完璧なまでに計算してね。それに……」
社長は言葉を止めると、口角を上げてしたり顔になる。
「君が私をかばって代わりにワインを浴びたこと、そのあと場の雰囲気を壊さぬように静かに事を収めたこともね」
えっ、と芹奈は驚いて目を見開く。
「ご存知でしたか」
「もちろん。これでも私は大企業の社長をやってるんだよ?あはは!」
愉快げに笑って再び歩き始める社長に、芹奈はタジタジになりながらついて行った。



