距離感ゼロ 〜副社長と私の恋の攻防戦〜

(可愛いなあ。ずっと見ていたくなる)

芹奈の寝顔に微笑みながら、翔は隣に横たわり、優しく芹奈の頭をなでていた。

「大好きだよ、芹奈」

眠っているのをいいことに、耳元で愛をささやく。

「誰よりも芹奈のことが好きだ。可愛くてたまらない。ずっと大切にするから」

すると芹奈が小さく、うん……と頷いた。

(ふっ、寝ぼけてるのかな?可愛い)

翔は思わず笑みをもらし、更に芹奈の耳元に顔を寄せる。

「芹奈、すごく可愛いよ」

芹奈は、ふにゃっと頬を緩めて嬉しそうに笑う。

「俺は芹奈のことが大好きだ。芹奈は?俺のこと、好き?」

うん……と、またしても芹奈は小さく頷く。

(え、ほんとに?)

翔は面白半分に聞いてみた。

「芹奈。副社長のこと、好き?」
「うん」
「じゃあ、井口くんのことは?」
「んー……。井口くんはね、菜緒ちゃんと、ラブラブなの」

えっ!そうなの!?と翔は驚く。

「じゃあ、村尾のことは?好き?」
「村尾くんはね……、お父さんなの」

ぶっ!と吹き出してしまい、慌てて口元を押さえた。
そしてゴクリと生唾を飲み込む。

「ねえ、芹奈」
「ん?なあに?」
「副社長のこと、本当に好きなの?」
「うん、大好き……」

ズザーッと後ずさり、バクバクする胸に手を当てて翔は悶絶する。

(ま、マジか?本当に?寝ぼけてるだけか?でも妙にちゃんと受け答えしてたし。やっぱり、本当に?)

芹奈が、俺のことを?と、翔は信じられない思いでもう一度にじり寄る。

「芹奈。クリスマスプレゼント、気に入ってくれた?」
「うん。すごく綺麗なの。えっとね、ブレスレット」
「そう、ブレスレット。ずっと着けててくれる?」
「うん。大事にするね」

目を閉じたまま甘い声で子どものように話す芹奈はあどけなく、普段の芹奈からは想像出来ない。

「私もね、副社長にプレゼント」
「え?何を?」
「抱き枕。ギューってくっついて寝るの」
「え、芹奈。副社長にくっついて寝るの?」
「そうなの。ギューってくっついたら、ぐっすり寝られるの」
「そっか。じゃあ、ギューってしようか」

翔はいそいそと布団に潜り込む。

「芹奈、おいで」

腕枕して抱き寄せると、芹奈は翔にギュッと抱きついた。

「あったかい……」

耳元でささやかれ、翔は思わずドキッとする。

「芹奈、大好きだよ」
「私も、大好きなの」
「じゃあ、明日副社長にそう言って」
「やだ。恥ずかしいもん」

そう言って芹奈は、翔の胸に顔をうずめる。

(なんだこりゃ、超可愛い!)

もっともっと話していたい。
だが芹奈は抱きついて安心したのか、再び深い眠りに落ちていった。