(……え?)
ぼんやりと眠りから覚めた芹奈は、ふかふかしたベッドの寝心地にまず違和感を覚える。
(……ええ?)
恐る恐る目を開けると、見慣れない真っ白なシーツが目に飛び込んできた。
更に視線を上げると……
(えええー!?)
すぐ目の前に、目を閉じてスヤスヤ眠っている整った翔の顔があって、芹奈は飛びすさった。
(近い!え、ど、どういうこと?何がどうなって……)
すると、んん……と身じろぎしながら翔がゆっくり目を開ける。
ひえっ!と芹奈はベッドの反対側に慌てて降り、そのまま床にぺたんと座ると、両手をマットレスの縁にかけてそっと顔を覗かせた。
その途端に翔と目が合い、ひっ!と身を固くする。
翔はパチパチと瞬きしたあと、ぶっ!と吹き出して笑い始めた。
「ははっ!なんか小動物がいる」
「しょ、小動物!?」
「なんだっけ?ひょこっと立ち上がってキョロキョロする、ミーアキャット?」
「ミーア、キャット……」
「あ、知らない?」
「いえ、存じております。おひさまに向かって後ろ足と尻尾で立って、日光浴するんですよね」
真顔で答えると、翔はへえーと感心する。
「あれ、日光浴のポーズだったんだ」
「はい。キョロキョロするのは、敵が来ないか見渡しているそうです」
「そうなんだ。さすが詳しいな、ミーアちゃん」
翔はそう言うと、うーん……と伸びをしながら時計を見た。
「6時か。久しぶりによく寝たな」
「えっ、6時で?いつもはもっと早起きなんですか?」
「ああ。なぜか4時くらいに目が覚める。けど今日は、なんか人肌が心地良くてよく眠れた」
人肌……と芹奈は固まったまま呟く。
(確かに私も、なんだかぬくぬくと温かくて気持ち良かったな。……って、いやいや、それって!)
ベッドの縁に指をかけたまま、ふるふると首を振っていると、片肘をついて頭を支えながらいたずらっぽく翔が笑いかけてきた。
「なあ、いつまでミーアキャットやってんの?なかなか可愛いけどさ」
うぐっと言葉に詰まり、真っ赤になった芹奈はすっくと立ち上がる。
仕事モードで改めて挨拶した。
「副社長、おはようございます」
「おはよう、ミーアちゃん。そんな格好で、これからどちらへ?」
言われて芹奈は、へ?と自分を見下ろす。
夕べ着ていたプラックのドレスのままだった。
(これってどういう……。はっ!私、ソファで寝ちゃったんだ!)
翔の電話中においとまする訳にもいかず、待っている間に眠ってしまったらしい。
いつもよりワインをたくさん飲んでしまったことと、聞こえてくる流暢な英語に眠気を誘われて……
「も、申し訳ありません!秘書の分際でこのようなご無礼を働きまして」
「なに?今時の日本って、そんな武士みたいな口調が流行ってんの?」
頭を下げる芹奈に、翔はクスッと笑ってからベッドを降りた。
「シャワー浴びてきたら?コーヒー淹れておくから」
バスローブ姿の翔に言われて、芹奈はドギマギと視線を落とす。
だが、確かにこのままではどうしようもない。
今日は水曜日で、これから仕事にも行かなければならないのだ。
「はい。それではバスルームを使わせていただきます」
「ん。Take your time.」
「あ、ありがとう、存じます」
ははっ!と笑う翔の声を聞きながら、芹奈は着替えが入ったバッグを持ってバスルームに向かった。
ぼんやりと眠りから覚めた芹奈は、ふかふかしたベッドの寝心地にまず違和感を覚える。
(……ええ?)
恐る恐る目を開けると、見慣れない真っ白なシーツが目に飛び込んできた。
更に視線を上げると……
(えええー!?)
すぐ目の前に、目を閉じてスヤスヤ眠っている整った翔の顔があって、芹奈は飛びすさった。
(近い!え、ど、どういうこと?何がどうなって……)
すると、んん……と身じろぎしながら翔がゆっくり目を開ける。
ひえっ!と芹奈はベッドの反対側に慌てて降り、そのまま床にぺたんと座ると、両手をマットレスの縁にかけてそっと顔を覗かせた。
その途端に翔と目が合い、ひっ!と身を固くする。
翔はパチパチと瞬きしたあと、ぶっ!と吹き出して笑い始めた。
「ははっ!なんか小動物がいる」
「しょ、小動物!?」
「なんだっけ?ひょこっと立ち上がってキョロキョロする、ミーアキャット?」
「ミーア、キャット……」
「あ、知らない?」
「いえ、存じております。おひさまに向かって後ろ足と尻尾で立って、日光浴するんですよね」
真顔で答えると、翔はへえーと感心する。
「あれ、日光浴のポーズだったんだ」
「はい。キョロキョロするのは、敵が来ないか見渡しているそうです」
「そうなんだ。さすが詳しいな、ミーアちゃん」
翔はそう言うと、うーん……と伸びをしながら時計を見た。
「6時か。久しぶりによく寝たな」
「えっ、6時で?いつもはもっと早起きなんですか?」
「ああ。なぜか4時くらいに目が覚める。けど今日は、なんか人肌が心地良くてよく眠れた」
人肌……と芹奈は固まったまま呟く。
(確かに私も、なんだかぬくぬくと温かくて気持ち良かったな。……って、いやいや、それって!)
ベッドの縁に指をかけたまま、ふるふると首を振っていると、片肘をついて頭を支えながらいたずらっぽく翔が笑いかけてきた。
「なあ、いつまでミーアキャットやってんの?なかなか可愛いけどさ」
うぐっと言葉に詰まり、真っ赤になった芹奈はすっくと立ち上がる。
仕事モードで改めて挨拶した。
「副社長、おはようございます」
「おはよう、ミーアちゃん。そんな格好で、これからどちらへ?」
言われて芹奈は、へ?と自分を見下ろす。
夕べ着ていたプラックのドレスのままだった。
(これってどういう……。はっ!私、ソファで寝ちゃったんだ!)
翔の電話中においとまする訳にもいかず、待っている間に眠ってしまったらしい。
いつもよりワインをたくさん飲んでしまったことと、聞こえてくる流暢な英語に眠気を誘われて……
「も、申し訳ありません!秘書の分際でこのようなご無礼を働きまして」
「なに?今時の日本って、そんな武士みたいな口調が流行ってんの?」
頭を下げる芹奈に、翔はクスッと笑ってからベッドを降りた。
「シャワー浴びてきたら?コーヒー淹れておくから」
バスローブ姿の翔に言われて、芹奈はドギマギと視線を落とす。
だが、確かにこのままではどうしようもない。
今日は水曜日で、これから仕事にも行かなければならないのだ。
「はい。それではバスルームを使わせていただきます」
「ん。Take your time.」
「あ、ありがとう、存じます」
ははっ!と笑う翔の声を聞きながら、芹奈は着替えが入ったバッグを持ってバスルームに向かった。



