「か……いえ、マーセルさま、ごきげんよう」
「ごきげんよう、クロエ。そして、マーセルと申します。以後お見知りおきを」
王都へ続く道の前に馬車が一台。
その馬車の近くに、クロエと見知らぬ青年が立っていた。
クロエはわたくしたちに気付くと、すっと胸元に手を当てて頭を下げる。
傭兵学科の人も同じように頭を下げた。傭兵というよりは騎士のように見えるわね。
やはり、見知った人ではないみたい。彼は顔を上げると、レグルスさまに視線を移す。レグルスさまが小さくうなずくと、にこっと微笑みを浮かべてわたくしに自己紹介をしてくれた。
「初めまして、マーセル嬢。僕はブレン。傭兵学科で学んでいます」
朱色の髪に茶色の瞳。傭兵学科にいるだけあって、身体は大きいし、がっしりとしているのかがわかる。
レグルスさまとどんな関係なのかしらと二人を交互に見ると、レグルスはブレンに近付いて肩に手を乗せた。
「俺の護衛だったはずなんだがな、なぜか傭兵学科に行くことになった」
「……まぁ」
わたくしは口元を隠すように手で覆う。他国の王太子であるレグルスさまの護衛を、わざわざ別の学科に所属させたことに、悪意を感じる。
「まぁ、レグルス殿下はお強いので、僕がいてもいなくても関係ないような気がしますけどねー」
対してブレンさまは、のほほんとそんなことを口にした。
レグルスさまが「確かに俺は強いけど」と笑う。彼の実力をわたくしは知らないから、なんとも言えないのだけど……二人とも離れていることは、あまり気にしていないみたい。
「ごきげんよう、クロエ。そして、マーセルと申します。以後お見知りおきを」
王都へ続く道の前に馬車が一台。
その馬車の近くに、クロエと見知らぬ青年が立っていた。
クロエはわたくしたちに気付くと、すっと胸元に手を当てて頭を下げる。
傭兵学科の人も同じように頭を下げた。傭兵というよりは騎士のように見えるわね。
やはり、見知った人ではないみたい。彼は顔を上げると、レグルスさまに視線を移す。レグルスさまが小さくうなずくと、にこっと微笑みを浮かべてわたくしに自己紹介をしてくれた。
「初めまして、マーセル嬢。僕はブレン。傭兵学科で学んでいます」
朱色の髪に茶色の瞳。傭兵学科にいるだけあって、身体は大きいし、がっしりとしているのかがわかる。
レグルスさまとどんな関係なのかしらと二人を交互に見ると、レグルスはブレンに近付いて肩に手を乗せた。
「俺の護衛だったはずなんだがな、なぜか傭兵学科に行くことになった」
「……まぁ」
わたくしは口元を隠すように手で覆う。他国の王太子であるレグルスさまの護衛を、わざわざ別の学科に所属させたことに、悪意を感じる。
「まぁ、レグルス殿下はお強いので、僕がいてもいなくても関係ないような気がしますけどねー」
対してブレンさまは、のほほんとそんなことを口にした。
レグルスさまが「確かに俺は強いけど」と笑う。彼の実力をわたくしは知らないから、なんとも言えないのだけど……二人とも離れていることは、あまり気にしていないみたい。



