「……どうして馬車が三台もあるの?」
「一台は荷物用ですよ。いろいろ運び出しました!」
クロエがぱぁっと明るい笑顔で一台の馬車を指す。そして、二台目の馬車を指した。
「二台目の馬車は私とブレンさまが乗ります。そして、あの乗り心地が良さそうな馬車は、カミラさまとレグルスさまのために、エセル王妃が用意してくださいました!」
「エセル王妃が?」
目を丸くして、三台目の馬車を見る。豪華な馬車で、本当にこれに乗ってリンブルグまで行っていいのかと一瞬考える。
「はい。王妃は今回のことを、とても重く受け止めているようです。レグルスさま、伝言がございます」
「伝言?」
「『カミラのことをお願いします』と」
「……直接言ってくれたらよかったのに」
両肩を上げるレグルスさまの表情は、優しかった。レグルスさまもレグルスさまで、いろいろと大変だったみたい。ようやく落ち着いたので、荷物をまとめてリンブルグに帰ることを決めたと聞いた。
エセル王妃は、レグルスさまとブレンさまにも『リンブルグの方々に無礼なことをしてしまい、申し訳ない』と謝罪したそうだ。グラエル陛下に何度もレグルスさまたちのことを話したけれど、まったく改善されることはなかった、と。
グラエル陛下のしたことに対し、エセル王妃はアフターケアに追われていたようね……
いつか、きちんと自分のことを見てくれると信じていた、と眉を下げてぽつりとつぶやいたこともあった。エセル王妃とは、マティス殿下の婚約者として親睦を深めていたから、お茶会に呼ばれることもあったのよ。
「まぁ、でも、今回のことでこの国も変わるかもしれないな」
「良い方向に変わることを、願いますわ」
「さて、準備もできましたし、早速リンブルグにいきましょうー。のんびりと、ね」
ブレンさまがわたくしたちに声をかけた。こくりとうなずいて、それぞれの馬車に乗る。
馬車に乗ってから、学園を振り返る。――この国で暮らしていたときのことを思い出し、ふっと小さく笑みを浮かべた。
「どうしたの?」
「……最後に、わたくし自身が決断できて良かった、と心の底から思いましたの」
「そうだね。ここから先はきみの物語だ」
「あら、わたくしだけはありませんわ。レグルスさまとわたくしの物語が、始まるのです」
「一台は荷物用ですよ。いろいろ運び出しました!」
クロエがぱぁっと明るい笑顔で一台の馬車を指す。そして、二台目の馬車を指した。
「二台目の馬車は私とブレンさまが乗ります。そして、あの乗り心地が良さそうな馬車は、カミラさまとレグルスさまのために、エセル王妃が用意してくださいました!」
「エセル王妃が?」
目を丸くして、三台目の馬車を見る。豪華な馬車で、本当にこれに乗ってリンブルグまで行っていいのかと一瞬考える。
「はい。王妃は今回のことを、とても重く受け止めているようです。レグルスさま、伝言がございます」
「伝言?」
「『カミラのことをお願いします』と」
「……直接言ってくれたらよかったのに」
両肩を上げるレグルスさまの表情は、優しかった。レグルスさまもレグルスさまで、いろいろと大変だったみたい。ようやく落ち着いたので、荷物をまとめてリンブルグに帰ることを決めたと聞いた。
エセル王妃は、レグルスさまとブレンさまにも『リンブルグの方々に無礼なことをしてしまい、申し訳ない』と謝罪したそうだ。グラエル陛下に何度もレグルスさまたちのことを話したけれど、まったく改善されることはなかった、と。
グラエル陛下のしたことに対し、エセル王妃はアフターケアに追われていたようね……
いつか、きちんと自分のことを見てくれると信じていた、と眉を下げてぽつりとつぶやいたこともあった。エセル王妃とは、マティス殿下の婚約者として親睦を深めていたから、お茶会に呼ばれることもあったのよ。
「まぁ、でも、今回のことでこの国も変わるかもしれないな」
「良い方向に変わることを、願いますわ」
「さて、準備もできましたし、早速リンブルグにいきましょうー。のんびりと、ね」
ブレンさまがわたくしたちに声をかけた。こくりとうなずいて、それぞれの馬車に乗る。
馬車に乗ってから、学園を振り返る。――この国で暮らしていたときのことを思い出し、ふっと小さく笑みを浮かべた。
「どうしたの?」
「……最後に、わたくし自身が決断できて良かった、と心の底から思いましたの」
「そうだね。ここから先はきみの物語だ」
「あら、わたくしだけはありませんわ。レグルスさまとわたくしの物語が、始まるのです」



