レグルスさまとブレンさまの優しいまなざしに気付いて、顔を上げる。

「お土産屋に寄って、寮に帰ろうか」
「ええ、そうしましょう」

 クラスメイトたちはきっとまだ水族館にいるだろうし、先に帰ってしまいましょう。

 確か、お土産屋は入り口付近にあったはず。

 みんなで移動していると、やっぱり視線を感じる。

 わたくしたちが一緒に歩いていると、すれ違う人たちの注目を集めるみたい。

 お土産屋に入り、ぬいぐるみのコーナーに足を進めた。

 いろんなぬいぐるみが置いてあるのね。

 真剣にぬいぐるみを選ぶ。マティス殿下に渡すには、大きなぬいぐるみがいいかしら。

 きっとどんな大きさでも受け取るでしょうね。大きなぬいぐるみを持って歩くマティス殿下を想像し、ふっと笑みを浮かべる。

 まぁ、このくらいのことは許されるわよね……?

 面白い顔のぬいぐるみを探してみましょう。じっとぬいぐるみを見つめていると、レグルスさまが声をかけた。

「そんなに真剣に悩んで……」
「マティス殿下に渡すものですから。可愛いのではなく、面白いものが良いのです」
「……敬語、やめない? 同じ学園に通っているんだしさ」

 わたくしは思わず目をぱちくりと瞬かせた。女性にそんなことを提案する男性は初めてだ。リンブルグでは、そうなのかしらね?

「カミラに戻ったら、そうしますわ」
「そうして。俺、あんまり敬語って好きじゃないんだよね。遠い気がして」
「レグルスさまに敬語を使わない方なんて、いらっしゃいますの?」
「いたよー。ブレンも人目があるから敬語なだけで、リンブルグじゃ普通に話してる」