【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜

「……お風呂に入りたいわ」
「準備しますね」
「待って、クロエ。……一緒に入らない?」

 クロエは「え?」と目を(またた)かせた。それから「えええっ!?」と声を上げた。

 その声を聞いて、くすくすと笑う。

 わたくしは浴室に向かって歩く。扉を開けて中を確認した。うん、とても広いので、充分二人で入れるわ。

 バスタブにお湯を溜め始めると、クロエが慌てたように浴室まで追ってきた。

「カミラさま、冗談ですよね!?」
「本気よ? 貴女(あなた)、わたくしの侍女になるのでしょう? お風呂のときにどうすれば良いのかを教えてあげる」

 にこりと微笑むと、一瞬身体を硬直させ、それから「なるほど……?」と首をかしげる。

 まぁ、この身体はマーセルのものだけど。

 お湯が溜まるまで、一休みしましょう。

「ねえ、クロエ。貴女、侍女の経験はないのよね?」
「え、ええ」
「じゃあ、お茶の()れ方を教えてあげるわ。わたくし好みの味を覚えてもらいたいの」
「は、はい。わかりました!」

 さすが王室御用達ホテル。良い設備が整っている。

 おそらく、お茶を頼めばすぐに用意してくれるだろう。

 自分たちでも淹れられるように、数多くの茶葉もあるし……ゆっくり休めるようにカモミールティーでも淹れようかしら?

 クロエにお茶の淹れ方を教えると、彼女は素直に聞いてくれて、わたくしが説明したことを一度で覚えてお茶を淹れてくれた。

 こくりと一口飲んで、優しい味に思わず笑みが浮かぶ。

「美味しいわ」
「それは良かったです」

 安堵したように息を吐くクロエを見て、彼女をじっと見つめた。