名も無き君へ捧ぐ


おまけに、守護霊についた理由はタブーだとかすごい剣幕だったのだ。
ひいお爺さんに聞けば何か分かるかもしれないが、それではルール違反になる。

思い出すだけで寒気が........。
さすが、ユーレイだけある凄み。



(今頃、冬弥何してるだろう)


霞がかる春めいた、休日の淡い青空をぼんやり眺めた。

今日は14日。
ホワイトデー。


せっかくの休みだ。
何かあるかもしれないなんて、ちょっとでもソワソワしてしまう自分がいる。

大事な会議なのだから、それどころじゃないだろうけど。




小さなため息を付くと、曾祖父は薄目を開けた。



ゴッホン

咳払いにハッとして後ろを振り向く。



「杏といったか」

「あ、はい」

「....お彼岸の意味を、ちゃんと知っておるか?」

「えっと、一応。ご先祖さまを供養しましょうっていう、お墓参りの期間、ですよね」

「大体は合っている。他は?」

「他....、あ!昼と夜の長さが一緒になるんですよね。それで確か、あの世とこの世が近くなる....みたいな」


こくこくとゆっくり頷く曾祖父。


「そこまで知っているなら、上出来な方だ。もうすぐ彼岸の時期だ。大事に過ごしなさい。杏は、子孫の中でも菩提心が強い方だと感じておる。その心を、決して無くさぬようにな」


そんな事を言われると思ってなかったので
キョトンとしてしまった。


曾祖父はまた再び目を閉じてしまった。