名も無き君へ捧ぐ


(随分楽しそうですねー)


「ええ!?」


心の中で1人盛り上がっていたとこで、割って入ってきた声に驚く。



(まー、僕の告げた通り、でしたからね。当然ですね)

(やっぱり!!あの場にいたくせにー、見て見ぬふり!ユーレイ嫌い!)

(大難が小難。ですから。ほら、連絡先もゲット出来たじゃないですか。おめでとうございます!パチパチパチ)


釈然としない物言いに、さっきまでの浮かれ具合が、
バカバカしく思った。


喧嘩はダメだ。
喧嘩は。



だって、そう、今日は....。




「なんで、おめでとうなの....。何も始まってないのに。....バカ」


心の声じゃなく、小さくか細い声で呟いていた。



今のこんな気持ちのままでは、感謝しようにも出来ない。


憎まれ口しか出てこない自分にも嫌気が差す。



ユーレイと喧嘩なんてしてどうするの。

ユーレイと恋なんてして........。



じわっと涙が浮かびそうになる。



おまけに頭まで痛くなってきた。

またどうしてこんなときに頭痛なんて。



本当に最悪だ。




酷くなる前に急いで用事を済ますことを優先した。


携帯ショップに閉店ギリギリに駆け込み、とりあえず代替え機を用意してもらい、コンビニでお弁当と飲み物を買い、家に着いても心の声は黙ったままでいた。


まるでロボットにでもなった気分だ。