名も無き君へ捧ぐ



素直じゃない遠回しの優しさに気づく度、胸がじんわり熱くなりそれが心地よく広がるのだった。


きっともう悟られてしまっている。


ユーレイに嘘も誤魔化しも通用しない。




きっと今顔がニヤてる。

表情だけでもバレたくないから、急いで布団に入り直す。




「....冬弥、ありがとう」

「分かってもらえたなら、いいんです」

「おやすみ」

「おやすみなさい」




彼の気配は分からない。


分からないけど、守られているという安心感からか、あの茜色の夕日のように暖かく懐かしく、とても久しぶりによく眠れた気がした。