名も無き君へ捧ぐ


ひょっとしたら、何でもお見通しのせいで、この私の心も見透かされいるのではないだろうか。
これから起きる未来だって、分かってしまっているのだから。


「ちなみに、何て名前ですか?」

「と、冬弥(とうや)ってどうかな。真冬に出会ったから、冬って使って」

「悪くないですね、じゃ冬弥でお願いします」


なんだかんだ乗り気な彼の態度を見て安心した。




落ち着かないこの気持ちも、そのうち消えてくれるだろう。

そう思い込むことにした。