全てがどうでも良くなるときって、本当にどうでもよくなる。
例えば、ほら、私がここから居なくなるとかさ…。
別に誰も困らないでしょう。
生まれて初めて無断欠勤をした。
ほんの少し罪悪感があったけど、それよりもずっと勝る混沌とした感情。
朝ごはんも要らない。
お腹もどうせ減らない。
せっかくなら、1番高いデザートを買って食べよう、なんて思いつきで外に出てきた。
確か、駅の向こう側の少し先に新しいケーキ屋がオープンしたんだった。
ぼーっとしながら歩いていた。
冬場れの空は清々しいくらい眩しくて澄んでいて、私の心とは全く正反対。
鬱陶しい。
ボサボサの髪はニット帽で誤魔化し、マフラーを口元まで覆い、ブカブカのパーカーに両手を突っ込み、薄汚れ履き潰したスニーカーでズンズン歩いていく。
昔から目つきの悪さは定評があったせいか、この身なりに道行く人は避けて歩いていく。
チラッと視線が合えば、逃げるようだ。
人は見た目で判断してはいけません。
そんな言葉、誰が信じてる?
鼻で笑ってやった。