黒澤くんの一途な愛



呆れられちゃったかな?


そう思ったけど。


「ほんと、栞里に何もなくて良かったよ」


黒澤くんが、着ていた黒のカーディガンを脱いで、私の肩にそっとかけてくれた。


「今日はいつもよりも寒いのに。ずっと外にいて、もし風邪でも引いたらどうすんだよ」

「だ、大丈夫だよ。これくらい……」


さっきくしゃみをしていたのに、素直になれない私。


「何だ? バカは風邪引かないってか?」


黒澤くんが、口の端をくいっと上げた。


「バ、バカって! もう、黒澤くんったらまたそんなことを言って……!」

「栞里が素直じゃないからだろ?」


……う。その通りすぎて、何も言えない。


「でも……俺、お前みたいなヤツは嫌いじゃない」


黒澤くんの言葉に、胸がトクンと小さく跳ねた。


「クローバー、俺のためにありがとうな」


黒澤くんが嬉しそうに、私の頭をくしゃくしゃっと撫でてくる。


「わっ、私のほうこそ、カーディガンありがとうね」


ちょっぴり照れくさく感じながら、私は黒澤くんが肩にかけてくれたカーディガンにそっと手を当てる。


カーディガンには、黒澤くんの温もりがまだ少し残っていた。


「俺は、お前のその気持ちだけで十分だ。せっかく頑張って見つけたんだから、その四つ葉は栞里が持っててくれ」