「お待たせしました〜。ブレンドコーヒーです」 店員さんが席にやって来て、会話が中断される。 「花村。コーヒーとクッキーが来たぞ。とりあえず、食べろよ」 黒澤くんが、私の前にクッキーがのったお皿をスっと置いてくれる。 私は差し出されたお皿の上に並べられたクッキーをひとつ、つまむ。 口に入れると、サクッと音がこぼれた。 「……美味しい」 「だろ?」 黒澤くんの艶っぽい唇が、小さく弧を描く。 えっ、うそ。黒澤くん、今……笑った!?