横峯さんが負けを認めたことにより、学園の現トップと旧トップによる争いは幕を閉じた。
『あとは、僕たちに任せてよ』
私と黒澤くんは、赤松くんの言葉に甘えさせてもらい、二人で先に倉庫を出た。
外に出ると、辺りはすでに真っ暗だった。
「栞里、家まで送ってく」
「でも……おばあさんは? 病院に戻らなくて、大丈夫なの?」
「今は病院で、親戚の人が付き添ってくれてる。それに、ここへは祖母のことがちゃんと落ち着いてから来たから大丈夫だ」
「ほんとに?」
「ああ。ばあちゃん、軽度の脳梗塞だったんだけど命に別状はないって。数週間で退院できるらしい」
「そっか……良かった」
黒澤くんのおばあさんが無事だと分かり、私はホッと胸を撫で下ろす。
「だから、送る。あんなことがあった後だから、心配だし」
黒澤くんがいつの日かと同じようにこちらにヘルメットを投げ、私はそれをキャッチ。
黒澤くんのバイクにまた乗せてもらえるんだと思うと、勝手に頬がゆるんだ。
「それじゃあ、お願いします」