楽しそうに笑う翔を見て、胸がきゅっと狭くなる。

これはきっと、胸がキュンとしている証拠。


「私ね、翔に伝えたいことがあるの」

「それは、なに?」


「私ね───、翔のことが大好きです」


私の言葉に、目を大きく見開いた翔。

周りの音がやんだ。


二人の空間が静寂に包まれる。

繋いだ手は、決して離れない。


私の好きな人は、私の目の前で嬉しそうに泣いた。


その涙は、世界で一番美しかった。


「ほんと、華恋には敵わないなあ……」


「華恋は強いね。おれ、そんなとこだいすき」


翔はそう言って、私の唇に優しいキスを落とした。


「墨友華恋さん。おれと、───」


そして、あの日とは全く違う音程で告げられる。

真剣な表情で、だけどどこか不安そうに差し出された手を、私は迷いなく握った。