桑谷くんの彼女(偽装)になりました。



目をキラキラと輝かせたその子は、胸の前で手を組んで口を開いた。


「わ、わわわ、女の子が、いる〜〜っ!! え、これ幻覚? 私が描いた妄想? ち、違うよね!!」


……一体、この子は何を口走っているんだ。

私が何も言えずに黙っていると、突然私の手を掴んで顔を近づけてきた女子生徒。


「な、なにす……っ」


「あ、あの!! 初めまして! 私、櫻井(さくらい)ひよりと言いますっ……! 今はそのっ、学校に足を踏み入れて初めて見た女の子に感動が絶えないというかっ、信じられないというかっ! とにかくそのっ、私と友達になってくれませんか……?」


一気に大声でまくし立てたと思えば、最後の言葉は自信なさげに小さくなる。


私は未だに状況を把握できず、ぽかーんと口を開けることしかできない。


「え、えと……とりあえず手、離してもらえる?」