桑谷くんの彼女(偽装)になりました。



「わ、分かりました」


緊張気味にそう返すと、通話口の向こうでくすっと小さく笑う声が聞こえた。

翔はインターホンに出た相手が私だと気づいていたのだ。


私は顔に熱が集まるのを感じた。

すぐさま通話を切る。


へなへなとその場に座り込んで、顔を覆った。


……恥ずかしすぎる。

羞恥心ってこういうものを言うのか。


 ◆


「ど、どうぞ」


玄関扉を開け、翔を家に迎え入れる。

翔は私の顔を見て、楽しそうに口角を上げた。


翔を自分の部屋に招き入れ、お手伝いさんにお茶を出してもらう。


「華恋、久しぶり」

「あ、う、うん。久しぶり」

「それ、パジャマ?」

「……っち、違うよ! ただの部屋着」

「えー違うの。見れてラッキーって思ったのに」


翔はそう言っていたずらっぽく笑った。