桑谷くんの彼女(偽装)になりました。



【翔、会いたい】


気がついたら、そんなメッセージを送っていた。

私は慌てて送信取り消しボタンを押そうとする。


だけどその前に、〝既読〟という文字が画面に浮かび上がった。


「っ、まじかー」


私はベッドの上で頭を抱える。

ピコンッと通知音が鳴り、翔から返信が来たことを知る。


私は恐る恐る画面を覗き込んだ。


【うん。分かった。今行く】


たった三文。
だけどその三文で、ありえないくらい胸が温かくなる。


この感情の正体は、一体何?


 ◆


私は翔が来るのをそわそわと待った。


ピーンポーン、と家のインターホンが鳴って、私はすぐにそれに出た。


「は、はい」

『桑谷翔です。墨友華恋さんに会いに来ました』