桑谷くんの彼女(偽装)になりました。



ここは、巷で有名ないわゆるヤンキー高校。
共学であるにも関わらず、女子が入学することは滅多にないらしい。


だけど、私はそれで構わなかった。

この高校には青春を謳歌するためではなく、復讐を果たすために来たのだから。


昇降口に着き、ローファーから上履きに履き替える。


廊下に張り出されていたクラス表を確認し、すぐに一年A組の教室に向かう。


さすがヤンキー高と言うべきか、廊下に座り込んで馬鹿笑いしている連中や、さっそく喧嘩を始めている新入生の姿がちらほらと見える。


私はそれを見なかったふりをして、A組の教室に足を踏み入れた。


教室は見渡す限り男子だけだった。
私は特に何とも思わずに座席を確認し、その席に向かった。


私が席に着いたと同時に、その瞬間を見計らっていたように人影が目の前に迫ってきた。

見上げると、そこには一人の女子生徒が息を切らして立っていた。


「……何?」


私は眉をひそめ、不快感を込めてその子を見た。