桑谷くんの彼女(偽装)になりました。



「あー、勝手にすれば」

「はあ? お前、それ本気で言ってるの」


恭介の質問に、適当に頷く。

するとすぐに大きなため息が聞こえた。


「翔なら何もしなくてもトップになれるのに、なんでだよ」


隼人が唇をとがらせて言う。


「えー、もうそんなの興味ない」

「───好きな子の心を奪えるっていう特典付きなら?」


「……は、なんだよそれ」


恭介のくだらない煽りにおれは唾を吐き捨てる。


「だって翔、好きなんでしょ。〝華恋ちゃんのこと〟」


その名前を耳にして、肩が震えた。


「二人お似合いだったのに別れちゃったみたいだけどさー、翔見てるとなんかむしゃくしゃすんだよね」

「あー、分かる。誰が見ても墨友のこと好きって顔に書いてるのに、女みてえに日和って自分の気持ち伝えないとこがなんか、イラッとする」