「失礼します……」
私は軽く会釈を返し、お手伝いさんに続く。
案内された場所は童話に出てくるような大きくておしゃれな部屋だった。
私の屋敷も広いけど、ここまで装飾に凝ってはいない。
しばらく待っていると、ガチャリと部屋の扉が開かれる音がした。
音がした方に視線を向けると、そこには上下白い服を着た翔が驚いた表情で佇んでいた。
「あ、翔……」
腰掛けていたソファから立ち上がる。
翔は信じられないという目で私を見た。
「華恋……? なんでここにいるの」
「なんでって、その、翔が心配だから来たんだけど……」
私がそう言うと、翔は小走りで私の元へ近づいてきた。
そしてそのまま、ぎゅっと強く抱きしめられる。



