桑谷くんの彼女(偽装)になりました。



彼女の中でおれの存在がどんどん大きくなるのを見てみたくて、自分の彼女にした。

だけど三ヶ月間経った今も、おれは華恋にとって〝復讐の助けとなる情報を握っているかもしれない〟男。ただそれだけだ。


「はあ……」


自分でも自分が分からない。

どうしてここまで気分が落ち込んでいるのか。


女ごときに振り回されて、悩んで、悲しくなるのか。
それはきっと、華恋がとくべつな存在に思えてならないから。


華恋は他の女とは違う。

強くて、優しくて、正義感がある。
そして何より自分を持っている。


全部、おれが持っていないもの。
それを彼女は持っているのだ。


「翔、どーした?」


頭を抱えたおれを見て、恭介が訊ねる。


「……そんなん、おれが聞きてーよ」