翔、どうしたんだろう。
なんだか今日はいつもと様子が違う。
疑問に思ったけれど、わざわざ訊きはしなかった。
◆
〈翔side〉
華恋がなぜ自分の側にいるのか。
なぜ自分の言う事を聞いてくれるのか。
最初からそんなものお見通しだった。
華恋は両親を殺された可哀想な子。
いつどんな時でも復讐の機会を諜っている油断も隙もない子。
彼女がいつ復讐を諦めるのか、おれはこの三ヶ月間で身を持って分かった。
───彼女は絶対に、諦めはしないだろう。
墨友夫妻を殺した暴力団を知るおれは、華恋にとって復讐の鍵でしかないのだ。
利用され、用が済んだらぽいっと捨てられるほどの存在。



