桑谷くんの彼女(偽装)になりました。



入学してから一ヶ月。

私と翔は全校生徒が知る有名カップルとなった。


高校三年生の翔と、高校一年生の私。

私たちの間に上下関係はないけれど、私の方が翔より下なのは目に見えている。


「華恋ちゃんは翔のどこに惹かれたの?」


温和な雰囲気の京恭介(きょうすけ)が問いかけてくる。

私はギクリとして恐る恐る京さんに向き直る。


「顔、ですかね」


今思いついたことを適当に言う。


「あー顔ね。確かにあいつ、きれーな顔してるよね」

「はい……」


翔といつも一緒にいるこの二人は、私たちが偽装カップルだということを知らない。


「でも俺は墨友サンの方が綺麗な顔してると思うよ」


ちょくちょく会話に混じってくる西園寺隼人。