桑谷くんの彼女(偽装)になりました。



 ◆


「華恋、あーんして」

「はいはい」


高校の食堂にて。

長い脚を組み、私の肩に腕を回した金髪男が口を開けた。


私はその中にオムライスを突っ込む。


もちろん今は二人きり……ではなく、たくさんの生徒の視線が全身に刺さっている。


こんな公の場でいちゃつくなんて、どうかしてる。


私はオムライスを美味しそうに頬張る桑谷をジト目で見た。


「華恋、おかわり!」


その姿はまるで幼い子供のよう。

私はあんたのママか!
そう怒鳴りたくなるけれど、我慢我慢。


これは黒幕を暴くための第一歩なのだから。