桑谷くんの彼女(偽装)になりました。



桑谷は私を探るような目つきで見つめてきた。


「……ふーん。そうなんだ」


大して興味なさげな声色で返される。


「それよりお前ら、どっか消えてくれない?」


私から視線を逸らした桑谷は、大柄な男たちに向かって冷たく言い放つ。

それに反抗しようとする者は誰一人おらず、蛇に睨まれた蛙のように一目散に去っていった。


「あの、それじゃあ私もこれで……」


今日は挨拶だけのつもりだ。
私がそそくさとその場から離れようとすると、長い脚が壁にドンッと打ち付けられ、出口をふさがれた。


ズボンのポケットに手を突っ込んだ桑谷は、その綺麗な顔を私に近づける。


壁と桑谷の間に挟まれた私は、身動きを取れなくなってしまった。