男は焦ったように後ずさる。
けれど私に押さえつけられているから逃げることは叶わない。
「……ああ、そう」
それだけ言うと立ち上がり、私はすぐさま男の脇腹を力強く蹴った。男の体は宙に浮き、路地裏の壁に背中を打ちつける。
こんなもんじゃ私の怒りは収まらなかった。
咳き込む男に近づく。
周りの男どもが何やらヒソヒソと話しているのが聞こえる。
遠くからはパトカーのサイレンの音がこちらに近づいてくる。
おそらく、この中の誰かが通報したのだろう。
だけど私はそんなことお構い無しに私を侮辱した男をもう一度殴ろうとした。
───しかし、それはある人の声によって止められる。



