桑谷くんの彼女(偽装)になりました。



彼は一体、どんな人なのだろう。
彼の何が、そこまで人を惹きつけるのだろう。

桑谷、という男が率いる三人組はこちらに目もくれずに廊下の奥へと姿を消した。


「わあ、すごかった……。ウワサでは聞いてたけど、この世にあんなに浮き世離れしたイケメンって存在したんだね」


隣で呆けた顔をして呟いた櫻井さんは、あの三人の登場で無事涙が引っ込んだようだ。


「まあ、そうだね」


私は適当に相槌を打つ。

今、私の頭の中にはあの男の姿でいっぱいだ。


もしかして、という疑念は薄まるどころかどんどん色濃くなっていく。


あれだけ場を沸かせたのだ。
あの人は、ただ者じゃない。


きっと何か裏がある。

例えば、そう───殺人。