アイドル宣言！

私の本当の名前は川西伊桜莉。

つまりこの家の、 橋下家の子供ではないということ。

で、なんであんなに謝ってきたかと言うと、私は引き取られたっていうより、言い方は悪いがもらった子供ということになるから。


事の始まりは交通事故でお父さんとお母さんの本当の娘であり、私と同い年の橋下海幸(はししたみさ)さんが亡くなったらしい。

退院後の海幸さんを乗せて家に向かっていたところ、飲酒運転をしていた車に突っ込まれてお父さんは無事だったけど、お母さんと海幸さんは重体で、そのまま海幸さんは亡くなってしまったらしい。


それでそんな時に出会ったのが川西家。

入院していたお母さんが車椅子で少し外に出ると、川西さんが赤ちゃんを抱いて歩いていたそう。

その赤ちゃんっていうのが私なわけで、海幸さんと泣き顔がそっくりで、大怪我をしていることも忘れて川西さんにその子を育てさせて欲しいとお願いしたらしい。

全くなんて人なんだ、私のお母さんは。

もちろん川西さんは断る。
変なやばい人とでも思うだろう。

でもお母さんの熱量に折れて、1度ゆっくりと話をしてくれる事になっただと。

翌日、川西家父母、橋下家父母で話し合い。

川西さんもいい人なんだろうな。実母だけど。


一旦お母さんに3時間ほど熱弁されて、お持ち帰りになった。

またその後日会って、条件付きで許されたらしい。
川西さんは少し貧困状況にあって、兄弟もいるからお金に困っていて、お金に余裕がある橋下家の方が幸せになれるかもしれないと思ったそうだ。

でもその条件というのは
1つ目。伊桜莉という名前は変えること。ただし、海幸という名前は付けてはいけない。
伊桜莉は川西家の名前だから。海幸という名前は私がいつかこれを知ってしまったときに海幸さんの代わりだと思わないため。

2つ目。定期的に私の写真を川西家に送ること。
川西家の姉の方は私の存在を知っているため。

3つ目。いつかはこのことを話すこともありだと思います。ただ、ご自身のために話さない、というのはなしで、この子のことを考えて、その場合、話すタイミングはお任せします。

4つ目。とにかく大切にすること。でもほかに兄弟が出来ても、その子と同じように育てること。

5つ目。年に1回はお母さんと川西さんで会うこと。そして、橋下家はここを引越すこと。
で、今は千葉県の田舎の方に住んでるってことか。


こんな条件をつけて、私は海琴になった。

もちろんお父さんとお母さんに怒りとかはない。

でも、海幸さんの代わりにと、育てたつもりはもちろんないけど、そう思ってしまってもおかしくないし、悪いのは私たちだから本当にごめんなさい。と何回も謝られた。

ちゃんと育ててもらったし、一颯もいるし、普通の正解をさせてもらっている。
それに、お母さんたちへの尊敬の意も変わらないままだ。
でも、やっぱり本当のお母さんには会ってみたいよね。

それに、1番の驚きはDreamboysの川西璃真くんは川西家の長男、つまり、

私のお兄ちゃんってことなのだ。