「どうしよう、マリア。私、考えたこともなかったのよ」
オフィスに着くと、カレンはコーヒーを淹れながら真里亜に電話をかけた。
『ん? なにをですか?』
「だから、その。け、結婚……」
『え、結婚!? それって住谷さんと、ってことですよね?』
「もちろんよ。だけど私、全然想像つかないの。ねえ、マリア。結婚したらどうなるの?」
すがるように尋ねると、電話の向こうで真里亜が押し黙る。
「もしもし、マリア? 聞いてる?」
『はい。カレンさん、あくまで私の場合はってお返事でいいですか?』
「ええ、マリアは結婚してどうだった?」
『とっても幸せになれました』
聞こえてくる真里亜の声は、明るくて優しい。
『私、特に結婚願望もなかったし、そもそも文哉さんとつき合うことになったのが不思議なくらいでした。だって文哉さん、最初は鬼軍曹みたいに怖かったんですよ。ずっと言い合ってばかりいたのに、いつの間にか好きになってて、ふふっ』
「ちょっと、マリア。のろけ話?」
『やだ、違いますよ。つまり、結婚する前は想像もできなかったくらい、今すごく幸せなんです。文哉さんとつき合えたのも、結婚できたのも、今となっては奇跡のように感じます』
「つき合えたのも、奇跡……」
確かにそうかも、とカレンは考える。
「第一印象は最悪だった住谷を好きになって、でも日本に帰る彼とはつき合うことはできなくて、諦めて……。なのに今は、私の為にニューヨーク支社長になって一緒に住んでくれてる。奇跡よね、本当に。他の男のことなんて、まるで考えられない。住谷のことで頭がいっぱいなの。彼以上の人なんて、この先も絶対に現れないわ」
『ふふふ。カレンさんこそ、おノロケですよ?』
「やだ! マリアったら。違うからね?」
真里亜はもう一度ふふっと笑ってから、しみじみと語る。
『カレンさん。私、文哉さんとつき合うことも結婚することも、全く想像していなかったからこそ、幸せは何倍にも大きくなりました。そばにいてくれると心が安らぐことも、温かく守られて安心することも、心から愛されることの喜びも、全部初めて文哉さんに教えてもらいました。だからカレンさんも、今はなにも想像できなくていいと思います。全て住谷さんが教えてくれますから』
「全て住谷が、教えてくれる……?」
『はい。だからカレンさんはただ住谷さんのそばにいて、たくさん愛されてくださいね』
カレンは、ほわんと宙に目を向ける。
住谷の優しい笑顔が浮かんできた。
『もしもし、カレンさん? 今、幸せの国に行っちゃってたでしょ』
「えっ! もうマリアったら、なんだか余裕ぶってるわね。私だって負けないんだから」
『はい。私たち、ずっとずっと幸せでいられますよね、きっと』
「もちろんよ。彼がそばにいてくれる限り、ずっとね」
最後は二人で、ふふっと笑い合った。
オフィスに着くと、カレンはコーヒーを淹れながら真里亜に電話をかけた。
『ん? なにをですか?』
「だから、その。け、結婚……」
『え、結婚!? それって住谷さんと、ってことですよね?』
「もちろんよ。だけど私、全然想像つかないの。ねえ、マリア。結婚したらどうなるの?」
すがるように尋ねると、電話の向こうで真里亜が押し黙る。
「もしもし、マリア? 聞いてる?」
『はい。カレンさん、あくまで私の場合はってお返事でいいですか?』
「ええ、マリアは結婚してどうだった?」
『とっても幸せになれました』
聞こえてくる真里亜の声は、明るくて優しい。
『私、特に結婚願望もなかったし、そもそも文哉さんとつき合うことになったのが不思議なくらいでした。だって文哉さん、最初は鬼軍曹みたいに怖かったんですよ。ずっと言い合ってばかりいたのに、いつの間にか好きになってて、ふふっ』
「ちょっと、マリア。のろけ話?」
『やだ、違いますよ。つまり、結婚する前は想像もできなかったくらい、今すごく幸せなんです。文哉さんとつき合えたのも、結婚できたのも、今となっては奇跡のように感じます』
「つき合えたのも、奇跡……」
確かにそうかも、とカレンは考える。
「第一印象は最悪だった住谷を好きになって、でも日本に帰る彼とはつき合うことはできなくて、諦めて……。なのに今は、私の為にニューヨーク支社長になって一緒に住んでくれてる。奇跡よね、本当に。他の男のことなんて、まるで考えられない。住谷のことで頭がいっぱいなの。彼以上の人なんて、この先も絶対に現れないわ」
『ふふふ。カレンさんこそ、おノロケですよ?』
「やだ! マリアったら。違うからね?」
真里亜はもう一度ふふっと笑ってから、しみじみと語る。
『カレンさん。私、文哉さんとつき合うことも結婚することも、全く想像していなかったからこそ、幸せは何倍にも大きくなりました。そばにいてくれると心が安らぐことも、温かく守られて安心することも、心から愛されることの喜びも、全部初めて文哉さんに教えてもらいました。だからカレンさんも、今はなにも想像できなくていいと思います。全て住谷さんが教えてくれますから』
「全て住谷が、教えてくれる……?」
『はい。だからカレンさんはただ住谷さんのそばにいて、たくさん愛されてくださいね』
カレンは、ほわんと宙に目を向ける。
住谷の優しい笑顔が浮かんできた。
『もしもし、カレンさん? 今、幸せの国に行っちゃってたでしょ』
「えっ! もうマリアったら、なんだか余裕ぶってるわね。私だって負けないんだから」
『はい。私たち、ずっとずっと幸せでいられますよね、きっと』
「もちろんよ。彼がそばにいてくれる限り、ずっとね」
最後は二人で、ふふっと笑い合った。



